現代の生活に合った日本文化を提案します

和装は姿勢を補正し代謝が上がります。
茶道の所作でエクササイズ、おもてなしの心で女子力もアップ!

利休七則

「茶は服のよきように点て」「炭は湯のわくように置き」「夏は涼しく冬は暖かに」 「花は野にあるように」「刻限は早めに」「降らずとも雨の用意」「相客に心せよ」

茶道の根本とは、自然体のままで季節感を大切にし、「もてなし」と「しつらえ」を基本にした生活文化と言うことができます。

利休百首

その道に入らんと思う心こそ我身ながらの師匠なりけれ

何事でもその道に入りそれを学ぶにはまず志を立てねばならない。自発的に習ってみようという気持ちがあれば、その人自身の心の中にもうすでに立派な師匠ができている。

習ひつつ見てこそ習へ習わずに善し悪し言ふは愚なりけり

批評するなら先ずその対象になるものに自ら入り込まねばならない。口先だけの批評では人は納得しない。

志深き人には幾たびも憐れみ深く奥ぞ教ふる

熱心な弟子には親切な師匠であるべき。実の子に教えるが如く憐れみ深く細々と教えなさい。

恥を捨て人に物問ひ習ふべし是ぞ上手の基なりける

知らない事を恥ずかしいと思わず、師匠や先輩に質問しなさい。一時の恥ずかしさっさえ忍べばそれは一生の得となる。

上手には好きと器用と功積むとこの三つ揃ふ人ぞ能くしる

何事でも名人上手になる為には、好き、器用、功積むの三つが必要条件である。他から強いられていやいや習うのでは上達が難しいし、要領よくする方がいいし、こつこつと努力を重ねる事が芸道修行の上で、最も大切。

点前には弱みを捨ててただ強くされど風俗いやしきを去れ

点前は力が弱すぎてもいけないし、力が入りすぎてもいけない。弱くも強くもない中庸を得た点前が良い。

手前には強みばかりを思ふなよ強きは弱く軽く重かれ

軽い物を持つ時は重い物を持つ気持ちで、重い物を持つ時は軽い物を持つ気持ちでしなさい。

何にても道具扱ふ度ごとに取る手は軽く置く手重かれ

道具を置いた手を離す時は手をすぐに引くのではなく、ゆっくりと離しなさい。

手前こそ薄茶にあれと聞くものを 相になせし人は誤り

何事も基本が大切である。点前の巧拙は運びの平点前の薄茶で最もよく現れる。

濃茶には手前を捨てて一筋に服の加減と息をもらすな

濃茶は服加減が第一である。加減良く濃茶を練る事に専念し、点前の上手下手は考えないようにしなさい。腹に力を入れ呼吸を整えなさい。

濃茶には湯加減熱く服は尚ほ泡無きやうに固まりも無く

濃茶の時、湯は熱めで、茶を入れる前によく拭き、初めの練り方を十分にしなさい。泡や団子がある内はよく練られていない。

とにかくに服の加減を覚ゆるは濃茶度々点てて能く知れ

濃茶を加減良く練るには更なる修行が必要である。

よそにては茶を汲みて後茶杓にて茶碗の縁を心して打て

茶杓を打つ時や栓打ちをする時は十分な注意を払いなさい。

中継は胴を横手にかきて取れ茶杓は直におくものぞかし

中継は蓋が深いので胴の横に手をかけて持ち、茶杓を置く時はまっすぐに置きなさい。道具にあった使い方をしなさい。

棗には蓋半月に手をかけて茶杓を円く置くとこそ知れ

棗は蓋と手が半月になるように持ち、茶杓を置く時は丸く置きなさい。このように置くと安定し、見た目も美しい。

薄茶入蒔絵彫物文字あらば順逆覚え扱ふと知れ

薄茶入で蒔絵、彫物、文字がある時は蓋と胴の出合いをよく見定めるように注意しなさい。

肩衝は中次とまた同じ事底に指をばかけぬとぞ知れ

肩衝を持つ時は胴の横から持ち、底に手を廻さないようにしなさい。

文琳や茄子丸壺大海は底に指をばかけてこそ持て

文琳、茄子、丸壺、大海を持つ時は底に指をかけて持ちなさい。

大海をあしらふ時は大指を肩にかけるぞ習ひなりける

大海の場合は平棗扱いで、左手の親指を茶入の肩にかけて持ちなさい。

口広き茶入れの茶をば汲むと言ふ狭き口をばすくうとぞ言ふ

大海、鮟鱇の茶は汲む、その他の茶入の茶はすくうと言います。

筒茶碗深き底よりふき上り重ねて内へ手をやらぬもの

筒茶碗を拭く時は先ず底を拭き、その後に縁を拭きなさい。普通に拭けば指や手先が茶碗の内部に触れてしまいますよ。

乾きたる茶巾使はば湯は少しこぼし残してあしらふぞよき

茶巾の湿りが少ない時には湯を捨てる時に少しこぼし残しておきなさい。臨機応変で点前をしなさいという心得。

炭置くはたとへ習ひに背くとも湯のよくたぎる炭は炭なり

少々形が悪くても、よく湯がたぎるように炭をつぎなさい。美より用。

客になり炭つぐならばその度に薫物などはくべぬ事なり

亭主に所望され炭をつぐ時は絶対に香をくべないように。香をくべるのは亭主の役割である。

炭つがば五徳挟むな十文字縁をきらすな釣合を見よ

炭をつぐ時は五徳を挟むと風通りが悪くなる。炭と炭の縁を切れば火のめぐりが悪くなるのでしないように。

焚え残る白灰あらば捨て置きてまた余の炭を置くものぞかし

初炭に用いた枝炭があれば景色としてそっとしておきなさい。

崩れたるその白灰をとりあげて又たきそへる事はなきなり

枝炭は置くときにくずれたり、また燃え残っても置き直さないで景色としなさい。

炭置くも習ひばかりにかかはりて湯のたぎらぬ炭は消え炭

炭は下火の多少等で置き方や数を変えなければならないので、教えられた通りに置いても火がおこらない事もある。炭は火がおこるように置きなさい。

風炉の炭見ることはなし見ぬとても見ぬこそ猶も見る心なれ

風炉の場合、美しくされた灰形が崩れるような事をしない為に初炭では拝見をしない。後炭の時にしなさい。

客になり風炉の其うち見る時に灰崩れなん気づかひをせよ

風炉の灰はとても扱いが難しいので客は亭主の辛苦を察して風炉を拝見する時は静かに控えめにしなさい。

客になり底取るならばいつにても囲炉裡の角を崩し尽すな

炉で廻り炭(七事式)の場合、囲炉裏の四隅の灰を崩さないようにしなさい。火のめぐりが悪くなる。

墨蹟をかける時にはたくぼくを末座の方へ大方はひけ

墨蹟をかける時には啄木(掛物の巻き緒)を必ず下座の方に引いておきなさい。

絵の物をかける時にはたくぼくを印ある方へ引きおくもよし

絵の物をかける時には啄木(掛物の巻き緒)を印のある方へ引いておいてもよい。

絵掛けものひだり右向きむかふ向き使ふも床の勝手にぞよる

人物画の場合、向かって左向きは人物の背が勝手付になるように掛けなさい。床によって掛けるものを選びなさい。

掛物の釘打つならば大輪より九分下げて打て釘も九分なり

掛物の釘を打つ場合には大輪(天井の回り縁)より九分下の壁に打ちなさい。竹釘の皮の面を上にしてやや斜め上向きに九分の長さを残して打ちなさい。

床にまた和歌の類をば掛けるなら外に歌書をば荘らぬと知れ

道具の取り合わせは重複を避けなさい。和歌を掛ければ歌書を飾ってはいけない。

外題あるものを余所にて見るときは先づ外題をば見せて披けよ

由緒のある掛物、天皇の書かれた物等を床に掛ける時は軸飾り(掛物を巻いたまま床に飾り、外題を拝見)してから床に掛けなさい。

品々の釜によりての名は多し釜の総名鑵子とぞいふ

釜は形やその他の理由から様々な名称があるが、総称すると鑵子と言います。

冬の囲炉裏縁より六七分高く据えるぞ習ひなりける

炉縁より釜の口が六、七分の高さで釜を据えると、柄杓が扱いやすい高さですよ。

姥口は囲炉裏縁より六七分低く据えるぞ習ひなりける

姥口の場合は胴の上部に柄杓をかける為、炉縁より六、七分低く釜を据えなさい。

置き合せ心をつけて見るぞかし袋は縫目畳目に置け

置き合わせは非常に難しいので袋の縫い目を畳の目に合わせて置きなさい。

運び点て水指置くは横畳二つ割にて真ん中に置け

運び点てで水指を置く位置は畳の横幅を二つ割りにした中央ですよ。

茶入又茶筅のかねをよくも知れあとに残せる道具目当に

茶入や茶筅を元の位置に戻す時は、別の器物を目当てに置きなさい。

水指に手桶出さば手は横に前の蓋取り先に重ねよ

手桶水指の場合、置きあわせは手を横一文字にし、蓋は両手で前を取り、向こうの蓋に重ねなさい。

釣瓶こそ手は竪におけ蓋取らば釜に近づく方と知るべし

釣瓶の場合、手を縦に置き、釜に近い方の蓋を取り、向こうの蓋に重ねなさい。

余所などへ花を贈らば其花は開きすぎしはやらぬものなり

花を贈る時には、未来に楽しめる花(開ききっていない花)を贈るべきである。

小板にて濃茶を点てるば茶巾をば小板の端に置くものぞかし

風炉の板敷を使う濃茶の点前は茶巾を右前角に置きなさい。

喚鐘は大と小とに中々に大と五つの数を打つなり

喚鐘は大小中中大と打ちなさい。銅鑼は大小大小中中大である。

茶入より茶掬ふには心得て初中後掬へそれが秘事也

茶入より茶すくうには初めは少し、次は少し多め、後はたくさん入れなさい。

湯を汲むは柄杓に心つきの輪のそこねぬやうに覚悟して汲む

湯を汲む時は柄杓の月の輪(合と絵が繋ぎ合った所)がゆるまない様に注意して汲みなさい。

柄杓にて湯を汲む時の習には三つの心得あるものぞかし

柄杓の扱いの心得。一.十分に汲まず、九分目まで汲む。二.湯は底、水は中程を汲む。三.油柄杓(だんだん上にあがる)をしないように。

湯を汲みて茶碗に入るる其時の柄杓のねぢは肱よりぞする

湯を汲んで茶碗に入れる時は手首を回すのではなく、肘より回しなさい。

柄杓にて白湯と水とを汲む時は汲むと思はじ持つと思はじ

湯や水を汲もうと思わないように。柄杓を持とうと思わないように。手首より肘に注意しなさい。

茶を振るは手先を振ると思ふなよ臂より振れよそれが秘事なり

薄茶を点てる時は手先を振ると思わないで肘より振ると思いなさい。

羽箒は風炉に右羽よ炉の時は左羽をば使ふとぞ知る

風炉は陽なので右羽の陰、炉は陰なので左羽の陽を使いなさい。

名物の茶碗出でたる茶の湯には少し心得かはるとぞ知れ

名物の茶碗や由緒のある茶碗を扱う時は、普通の扱いをせずに、古袱紗に乗せ、茶巾で拭きなさい。

暁は数寄屋のうちも行燈に夜会等には短檠を置け

暁は陽なので行燈の陰、夜会は陰なので短檠の陽を使いなさい。

ともしびに陰と陽との二つあり暁陰に宵は陽也

灯は、暁は陽なので陰の明かり、夜会は陰なので陽の明かりを使いなさい。

燈火に油を注がば多く注げ客にあかざる心得と知れ

客へのもてなしの心得。燈火を暗くしては客が居辛くなるので配慮しなさい。

いにしへは夜会等には床の内掛物花はなしとこそきけ

利休居士以前の夜会には掛物・花は使わなかった。

炉のうちは炭斗瓢柄の火箸陶器香合ねり香としれ

炉の時は炭斗は瓢、柄付の火箸、陶器の香合、ねり香である。

風炉の時炭は菜籠にかね火箸塗り香合に白檀をたけ

風炉の時は炭は菜籠に入れ、金属製の火箸、塗物の香合、白檀をたきなさい。

いにしへは名物等の香合へ直ちにたきもの入れぬとぞきく

名物・拝領物の香合の場合、汚したり傷つけたりしないように下に紙等を敷いて香を入れなさい。

蓋置きに三つ足あらば一つ足前に使ふと心得ておけ

三つ人形などの本足の場合、一つだけ他とは違うものが前である。

二畳台三畳台の水指は先づ九ツ目に置くが法也

台目畳の時に水指は客付の畳から畳目が九ツ目の所に置きなさい。

茶巾をば長み布幅一尺に横は五寸のかね尺と知れ

茶巾は曲尺で長さ1尺、横五寸の大きさである。

袱紗をば竪は九寸横幅は八寸八分かね尺にせよ

袱紗は曲尺で縦九寸、横八寸八分の大きさである。

うす板は床かまちより十七目または十八十九目に置け

薄板(床に飾る花入の下に敷く板)は床框より奥へ畳目で十七から十九目に置きなさい。床の大小、花入によって変えなさい。

うす板は床の大小また花や花生によりかはるしなしな

花入を置く位置は薄板の位置によって定まる。

花入の折釘打つは地敷居より三尺三寸五分余もあり

花入の折釘を打つ時は地敷居より三尺三寸五分の高さに打ちなさい。

花入に大小あらば見合せよかねをはずして打つがかねなり

花入の大小・床の高低で釘の位置を変えなさい。

竹釘は皮目を上に打つぞかし皮目を下になすこともあり

竹釘は皮目を上に打つのが原則であるが、不便な時は下にしてもよい。

三つ釘は中の釘より両脇と二つわりなる真ん中に打て

横幅の広い大横物を掛ける時は真ん中の釘と端の中間に打ちなさい。掛け緒は真ん中を吊し、次ぎに左を掛け、次ぎに右を掛け、最後に真ん中をはずす。

三幅の軸をかけるは中をかけ軸先をかけ次は軸もと

三幅の軸をかける時は中をかけ、軸先をかけ、次は軸もとを掛ける。

掛物を掛けて置くには壁付を三四分すかしおく事ときく

掛物を掛けて置く時には壁付より三、四分離しておかないと壁や掛物を損じてしまう。

時ならず客の来らば点前をば心は草にわざをつつしめ

不意の来客が来た時は点前は十分謹んで丁寧にしなさい。

花見よりかへりの人に茶の湯せば花鳥の絵をも花も置くまじ

花見から帰ってきた人が茶会に来る時は花や鳥の絵や花を入れても面白くない。

釣船はくさりの長さ床により出船入船浮船と知れ

舟形の花入を吊るには床によって光線のくる方向へ向けたり、その逆へ向けたり、床の上に鎖を束ね、小さな錨を置き、花入をそれにもたれかけさせなさい。

壺などを床に飾らん心あらば花より上に飾り置くべし

壺等を床に飾る時には花入より上座に置きなさい。

風炉濃茶必ず釜に水さすと一筋に思ふ人はあやまり

湯の温度は茶の精気によって変えなさい。精気の衰えた茶に熱湯を注いではおいしくない。

右の手を扱ふ時はわが心左の方にあるとしるべし

右の手を扱う時には左手がおろそかになりやすいので注意しなさい。

一点前点るうちには善悪と有無の心わかちをも知る

一点前を点る間は無我夢中でしなさい。

なまるとは手続き早く又遅く所々のそろはぬを言う

むらのある点前をしてはいけない。

盆石を飾りし時の掛物に山水などはさしあひと知れ

盆石を飾る時には山水の絵は掛けてはいけない。

板床に葉茶壺茶入品々をかざらでかざる法もありけり

板床に葉茶壺、茶入等の品々を飾るべきではないが、飾る時は紙等を敷きなさい。

床の上に籠花入を置く時は薄板などはしかぬものなり

籠花入を置く時は薄板等は敷かないように。

掛物や花を拝見する時は三尺程は座をよけてみよ

掛物や花を拝見する時は三尺程離れて見なさい。

稽古とは一より習ひ十を知り十よりかえるもとのその一

稽古とは繰り返す事である。十まで習ったらそれで終わりではない。

茶の湯をば心に染めて眼にかけず耳をひそめて聞くこともなし

奥義とは自分で求め、自分で得るものである。

目にも見よ耳にもふれよ香を嗅ぎてことを問ひつつよく合点せよ

六感をすべて使って覚えなさい。

習ひをばちりあくたぞと思へかし書物は反古腰張にせよ

書物に頼っているうちは、妙境に達する事はできない。書物には要の事やコツはあえて書いていない。それは口伝で伝える。

茶を点てば茶筅に心よくつけて茶碗の底へ強くあたるな

茶を点てる時には茶筅によく注意して茶碗の底に強く当たらないようにしなさい。

水と湯と茶巾茶筅に箸楊枝柄杓と心あたらしきよし

水、湯、茶巾、茶筅、箸、楊枝、柄杓、心は新しい清浄なものがよい。

茶はさびて心はあつくもてなせよ道具はいつも有合にせよ

茶は質素で心に満足を与えるようにしなさい。道具は身分相応なものがよい。

釜一つあれば茶の湯はなるものを数の道具をもつは愚かな

茶は道具で点てるものではなく、心で点てるものである。

かず多くある道具をも押し隠し無きがまねする人も愚かな

道具は使うからこそ道具としての価値がある。使わない道具は道具としての価値が無い。

茶の湯には梅寒菊に黄葉み落ち青竹枯木あかつきの霜

茶の湯では陰陽の調和が重要である。

茶の湯とはただ湯を沸かし茶を点てて飲むばかりなる事と知るべし

言うは易し、行うは難し。

もとよりもなき古の法なれど今ぞ極る本来の法

茶の湯とはただの遊びではなく、心を養うものである。

規矩作法守りつくして破るとも離るるとても本を忘るな

規則は守らなければならないが、例え破ろうとも離れようとも本質を忘れず、臨機応変にしなさい。規律を守り背かずに生きるのはよいが、眼前の事実を前にしてそれらを飛び越えた最良の選択を探し出しなさい。